映画批評『モービウス』

ニートの独断と偏見による評価

4 out of 5 stars (4 / 5) バッドレーダーの描画に見ごたえがあります。

ストーリー

 マイケル・モービウスは幼いころから血の難病にかかっていた。同世代の子どもと同じようには学校へ行けず、医療施設のベッドの上でほとんどを過ごす。

 ある日、資産家の息子が同じ病室に入院してきた。後に親友となる「マイロ」だ。マイロもまた、同じ難病を患っていたのだ。
 マイロは隣のモービウスに興味を惹かれ、積極的に声をかけていた。お隣通し、それとない会話を続けていると、急にマイロが意識を失ってしまう。マイロにつけられていた人工透析機?が故障していたのだ。
 モービウスは、人を呼んだが誰も来なかった。そこで、機械の仕組みを理解していたモービウスは、その場にあった身近に存在する物の部品で、機械を一時的に直すのであった。

 モービウスの天才ぶりに気づいた担当医師は、モービウスに留学を進める。

 大人になったモービウスは、人工血液を作った功績でノーベル賞候補に選ばれるほどの天才博士になっていた。治療施設で働く、天才医師としても知られている。治療施設の研究に投資してくれているのは、親友のマイロだ。モービウスは難病を治療できるかもしれないと、マイロに追加の資金提供を頼み込む。

 モービウスが難病を治療する研究に使うのは血清を使用したゲノム操作で、血を吸うだけで生き残れる吸血コウモリのDNAを使用する。問題となっているDNAの配列を、吸血コウモリのDNAと部分的に組み替えるというものだった。過去に試したマウス実験は100回を超えている。

 やがて、モービウスはマウス実験に成功する。そして自ら人体実験を行うのだった。しかし、過ちであったと彼は後悔をすることになる。

スタジオ・キャスト

映画スタジオ

配給:ソニー・ピクチャーズ エンターテイメント

監督

  • ダニエル・エスピノーサ

脚本

  • マット・サザマ
  • バーク・シャープレス

キャスト

  • 俳優:ジャレッド・レト / 役:マイケル・モービウス

 サイコパスの役のイメージが強い俳優です。

 『アメリカン・サイコ』『Mr.Nobody』やジョーカー、レイヨン、パオロ・グッチと、普通ではない人の色々な配役を演じてきています。

 今回のような、遺伝子組み換えで生まれたダークヒーローにもってこいです。ブレードランナーで遺伝子博士みたいな役はやっています。今回の映画を観るにあたって、すんなりモービウスのイメージを受け入れられる方が多いのではないでしょうか。

  • 俳優:マット・スミス / 役:マイロ

 『ドクター・フー』で11代目ドクターを演じて、知られている俳優です。

 テレビドラマ、映画、舞台と2010年以降忙しく活躍しておられますが、注目したいのは最近の役どころです。『ラストナイト・イン・ソーホー』で魅せた演技が、この映画にもハマっていたように思えます。

 好青年?→ダンス→だんだんクズに思えてくる→最後は胸元を刺されて死亡する。これが、この人のパターンと化したら、それはそれで面白いと思えました。

  • 女優:アドリア・アルホナ / 役:マルティーヌ

 『エメラルドシティ』『パシフィック・リム』、Netflixでは『スイートガール』に出演しています。助演で演じているアクティブな美人という印象をもっています。フォートナイトのラミレスのイメージそのままです。

 泥が顔についていても美人だし、なんだか似合っているのです。ダークな世界観がある作品や荒野が続くような世紀末の様な作品、戦争の作品などに登場するクールビューティーとしての活躍に期待したいと思います。

世界観

 モービウスの弱者を守る活動を行ってきました。その思いから化け物を誕生させてしまうわけです。自分では制御ができない力に対してショックを受けるものの、頭の良さで試行錯誤を重ねます。
 そんな中、悪意をもった第三者によって振り回されるといったヒーローのありがちなストーリー展開です。

 倫理を踏み越えてリスクを取ったモービウスは、後戻りができない失敗をしてしまうわけです。弱者を救うという信念は立派でも、やり方が違うとマルティーヌから警告もされています。なんとも、現代の人に共感できそうな話ではありませんか。

 映像でいえば、モービウスが手に入れた能力と、その映像美、表現方法が面白かったです。見ごたえもあるし、説得力もあります。これを、映像という視覚と効果音だけで表現されるわけです。ゲームで表現される空間把握能力系のキレイな実写版だと理解しました。


自宅で映画を観るなら

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です