映画批評「ゴヤの名画と優しい泥棒」

ニートの独断と偏見による評価

4.3 out of 5 stars (4.3 / 5) やられた…おもしろかった。

「ウェリントン公爵」を少しお借りします。

※パンフレット撮影画像

ストーリー

 60歳を過ぎてイギリスの公共放送であるBBCの受信料すら払えないケンプトン・バントン。BBC専用受信機(コイル)を外し、「民間放送しか視聴していないのに、なぜ税金を払わなければならない」そう訴えていた。そして、税金を払わなかったため、少しの収容されてしまうのだった。

 彼は釈放されたあと、タクシーの運転手をクビになりパン工場に勤めるようになった。黒人に対して超過労働を強いる上司に逆らい、やっぱりクビになる。正義感が強く、ちょっとユーモアが過ぎるおじいさんなのだ。

 1961年、世界中から貴重な美術品を集め展示されているロンドン・ナショナル・ギャラリーで「ウェリントン公爵」盗難事件が発生する。
 バントンは目の前にある公爵の前で「たいしたことない絵だな」と、ぼやく。そして、イギリス政府に向けて公共放送の税金を無くすよう脅迫状を送るのだった。

スタジオ・キャスト

映画スタジオ

配給:ハピネットファントム・スタジオ

後援:プリティッシュ・カウンシル

監督

  • ロジャー・ミッシェル

 21年9月22日65歳の若さでこの世を去りました。本作が最後の長編映画作品となります。

 『ノッティングヒルの恋人』で一躍世界的脚光を浴びました。その後も『Jの悲劇』『私が愛した大統領』などの名作を生み出しています。

 イギリスの政治のドキュメンタリーなどを手掛けるなか、人間味が溢れるメッセージを残すのが上手な監督さんです。今後に控えていた映画『エリザベス 女王陛下の微笑み』も、観たかったと悔やまれます。

キャスト

  • 俳優:ジム・ブロードベント / 役:ケンプトン・バントン

 イギリスを代表する俳優さんです。
 懐かしいところですと、『ハリーポッター』『ブリジット・ジョーンズの日記』などに出演していいます。『ゲーム・オブ・スローンズ』などの今はやりのネット配信ドラマにもでていて、70歳を超えてもなお現役でお芝居をしています。

  • 俳優:ヘレン・ミレン / 役:ドロシー・バントン

 エリザベス2世を演じた女優さんです。1969年から映画デビューされているという大ベテランです。ジャンルを問わず、全てのおばちゃん役をこなせます。この方も大英帝国勲章を受勲するイギリスを代表する演者さんです。

  • 俳優:フィン・ホワイトヘッド / 役:ジャッキー・バントン

 『ダンケルク』をはじめ、次々と話題作に主演として抜擢されている俳優さんです。それでいて、まだ20代という若さがあります。華々しく映画デビューを飾り、その後エミー書を受賞しています。今後に注目したいです。

世界観

 ケンプトン・バントンの感覚は、時代を先取り過ぎていて誰にも理解されなかった部分があります。パン工場のベルトコンベアから運ばれるパンを、手作業でコンタナに詰めている仕事について「未来は機械がやるしごとだな」とけなしています。
 人種差別についても、かなり先進的な考え方をお持ちです。

 BBCの受信税は国営放送ということなのでまだ解る気もしますが、受信が半強制なのはいただけません。(日本も、法人税、復興税、社会保障、入浴税、と負けてませんよ。と言いたい)税をとることには賛成だけれども、理解が出来ない税は払う必要がありますか?という主人公の意見には、見習いたいと思う部分があります。

 主人公をはじめとする周囲も、とても人間臭くて面白かったです。今の時代に生まれていたら、きっとYouTuberとして活躍していたことでしょう。

 世間体を気にする裁判員というのが、またなんとも面白い。笑ってはいけない部分で、ユーモアを醸すのは、なんでこんなに面白いんでしょう。


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