目次
贈与とは
自分の財産を無償で相手に与える契約の事。相手が合意することによって成立する。
- 贈与する方:贈与者
- 贈与を受ける方:受贈者
贈与の方法
- 口頭による贈与
- どちらからでも取り消すことは可能
- 財産を引き渡した後は取り消しできない
- 書面による贈与
- 原則として、取り消しできない
贈与の種類
定期贈与
定期的に行う贈与。
負担付贈与
受贈者に一定の負担(債務)を負わせる贈与。
ケース
1,000万円のマンションを贈与する代わりに500万円のローンを支払わせる。
死因贈与
贈与者が死亡することによって効力を生ずる贈与。
ケース
「私が死んだらこの国債を贈与する」など生前の意思表示に受贈者も同意している場合
死因贈与により受け取った財産は、贈与税ではなく、相続税の対象になる。
単純贈与
贈与のたびに贈与契約を結ぶ場合
贈与税の納税義務者
贈与税を支払うのは、贈与によって財産を取得した個人。
国内に住所がある者は、贈与により取得した書く国内外すべての財産に課税される。
課税財産の種類
贈与税が課税される財産は、本来の贈与財産とみなし贈与財産に分かれる。
本来の贈与財産
実際に贈与により取得した経済的価値のある財産
- 現金、預金、有価証券、土地・建物、貴金属 など
みなし贈与財産
実質的な贈与とみなして課税される財産
- 保険料を負担した者以外が受け取った満期保険金 など
個人間で時価よりも著しく低い科学で譲渡した場合、時価との差額がみなし贈与財産として贈与税の課税対象になる。
贈与税が非課税となる場合
- 扶養義務者間(親子間など)における通常必要な範囲での生活費・教育費の援助
- 社会通念上必要と認められる香典、祝物、お見舞金など
- 離婚にともない、慰謝料や財産分与を受けた場合
- 親が子に取りを無償で貸した場合
- 使用賃借という
- 法人から個人への贈与
- 給与とみなされ、所得税の対象となる
贈与税の計算と基礎控除
- 受贈者ごとに、1月1日~12月31日の1年間分の贈与財産に課される
- 暦年課税という
- 暦年課税には110万円の基礎控除額がある
- 受け取った財産の価額が110万円以下であれば贈与税は課税されない
- 申告不要
- 父母の両方から贈与を受けた場合でも、受贈者の基礎控除額は110万円が上限(220万円にはならない)
- 直系尊属からの贈与とその他の者からの贈与の場合で税率が異なる
- 贈与税は贈与財産が多くなるほど税率が高くなる累進課税
贈与税の計算式
贈与税額=(贈与税の課税価格ー110万円)×税率
贈与税率表
一般贈与の場合 | 直系尊属からの贈与の場合 |
課税価格 (基礎控除後) | 税率 | 控除額 | 課税価格 (基礎控除後) | 税率 | 控除額 |
---|---|---|---|---|---|
200万円以下 | 10% | 200万円以下 | 10% | ||
300万円以下 | 15% | 10万円 | 400万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 | 600万円以下 | 20% | 30万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 | 1000万円以下 | 30% | 90万円 |
1000万円以下 | 40% | 125万円 | 1500万円以下 | 40% | 190万円 |
1500万円以下 | 45% | 175万円 | 3000万円以下 | 45% | 265万円 |
3000万円以下 | 50% | 250万円 | 4500万円以下 | 50% | 415万円 |
3000万円超 | 55% | 400万円 | 4500万円超 | 55% | 640万円 |
問題
子(20歳以上)が父から年1,000万円の贈与を受け、暦年課税を適用した場合の贈与税額はいくらか。
答え
(1000万円ー110万円)×30%ー90万円=177万円
贈与税の申告と納付期限
申告期限
贈与税の申告書の提出期限
翌年の2月1日~3月15日まで
申告書の提出先
受贈者の居住地を管轄する税務署
納付期限
贈与税は申告書の提出期限である3月15日までに、金銭で一括納付する。贈与税額が10万円以上あり、納付期限までに金銭で一括納付できない場合は、税務署長宛に延納申請書を提出して延納できる。最長5年。
贈与税では物納は認められていない。
贈与税の配偶者控除の特例
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、国内にある居住用不動産やその敷地または居住用不動産の購入資金の贈与があった場合、最高2,000万円を課税価格から控除できる。
基礎控除の110万円とは別枠なので、夫婦間の贈与では合計2,110万円までの贈与については課税されないことになる。
贈与税の配偶者控除の特例の計算式
贈与税額=(課税価格ー110万円ー2,000万円)×税率
- 婚姻期間が20年以上ある夫婦間の贈与であること
- 過去において、同一配偶者からこの特例による贈与を受けていないこと
- 同一夫婦間では一生に一度のみ適用できる
- 贈与を受けた翌年3月15日までにその住居用不動産に居住し、その後も引き続き移住する見込みがあること
- この適用を受けるには、納税額がゼロの場合でも贈与税の申告が必要
問題
婚姻期間が20年以上ある夫婦間で夫から配偶者へ居住用不動産(評価額2,500万円)の贈与があり、贈与税の配偶者控除の特例を適用した場合の贈与税額はいくらか。
答え
(2500万円ー110万円ー2000万円)×20%ー25万円=53万円
390万円に対する税率が適用される。
夫婦間の贈与なので、一般贈与となる。
相続時精算課制度
相続時精算課制度とは
相続税と贈与税を一体化した制度。
- 1組の贈与者と受贈者につき、累計2,500万円(特別控除額)までの贈与であれば非課税となる
- 2,500万円を超える部分には20%贈与税が課される
- 贈与額が2,500万円以下の場合でも、この制度の定期用を受けるためには、申告が必要
相続時精算課税制度の概要
贈与者
贈与のあった年の1月1日現在、60歳以上の祖母・祖父母
受贈者
贈与のあった年の1月1日現在、20歳以上の子である推定相続人および孫。
相続になるはずの者、代襲相続人も含む者のこと。
手続き
贈与を受けた翌年2月1日~3月15日までに、相続時精算課税届出書を提出する。
一度選択すると、暦年課税制度への変更や取り消しができない。
対象財産
贈与財産の種類や金額に制限はない。贈与回数も制限なし。
税金の計算
2,500万円を超える金額に、一律20%贈与税がかかる。
ケース
3,000万円の贈与の場合
3,000万円ー2,500万円×20%=100万円の贈与性の支配いが必要
相続発生時の対応
- 適用を受けた者は、贈与財産と相続財産を合算して算出した相続税額から、すでに納付した贈与税額を控除する
- 相続財産と合算する贈与財産の価値は、贈与されたときの価格
- すでに支払った贈与税額の方が多い場合は、控除しきれなかった額は還付される
代襲相続人とは
代襲相続する者のこと。
代襲相続とは、本来相続人になるはずの人物が先に死亡している場合などに、その者に代わって、その子供などが相続人になること。
教育資金の贈与税の非課税措置
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置とは
子や孫に対して、直系尊属が教育資金を贈与し、金融機関に預けるなどした場合に、贈与した金銭のうち、一定額までが非課税になる。
この制度の適用を受けるためには、支払った教育費の領収書などを金融機関に提出する必要がある。
非課税措置の概要
贈与者
父母や祖父母などの直系尊属
受贈者
前年の所得金額が1,000万円以下である30歳未満の子や孫
非課税金額
- 学校に支払われる場合 1,500万円
- 学校以外の塾等に支払われる場合 500万円
適用期間
2021年3月31日までの贈与が対象
結婚・子育て資金の贈与税の非課税措置
結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置とは
直系尊属が子や孫に対して、契約した信託銀行などの口座に子育て資金や結婚資金を一括贈与した場合、一定額までが非課税になる。
暦年贈与、直系尊属からの住宅取得等資金贈与の非課税措置、直系尊属からの教育資金の雑徭の非課税措置などと同時に受けられる。
非課税措置の概要
贈与者
父母や祖父母などの直系尊属
受贈者
前年の所得金額が1,000万円以下である20歳以上50歳未満の子や孫
非課税金額
- 子育てに使用する場合、1人あたり1,000万円
- うち結婚資金に使用する場合、1人あたり300万円
適用期間
2021年3月31日までの贈与が対象
住宅取得等資金の贈与税の非課税措置
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税とは
父母や祖父母などの直系尊属から住宅購入資金の贈与を受けた場合、一定額までが非課税になる。
- 贈与を受けた翌年の3月15日までに住宅を購入していることが要件
- 贈与税の暦年課税の基礎控除や相続時精算課税制度、結婚子育て資金の贈与と同時に適用を受けることができる
贈与者
父母や祖父母などの直系尊属。
受贈者
贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上の者。
その年の合計所得金額が2,000万円以下の場合に限る。
住宅の要件
床面積が50㎡以上240㎡以下
適用期間
2021年12月31日までに住宅を取得した場合
非課税限度額
- 住宅取得の契約日 2020年4月1日~2021年3月31日
- 一般住宅 1,000万円
- 省エネ住宅 1,500万円
- 住宅取得の契約日 2021年4月1日~2021年12月31日
- 一般住宅 700万円
- 省エネ住宅 1,200万円
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