映画批評「大河への道」

ニートの独断と偏見による評価

4 out of 5 stars (4 / 5) 伊能先生を出されたら4.0未満の点数は出せない。

 なぜ今、伊能忠敬なのか。

 伊能も最初は日本地図を造る気はなかった。伊能が地図造るキッカケになった動機が、伊能忠敬を学ぶ理由になる。

ストーリー

 千葉県香取市役所に勤める池本保治。ゴミ捨て場の網を直し、役所に帰るなか車の中でラジオを聞いていた。ありふれた質問コーナーの中で伊能忠敬に関する問い合わせ流れる。

伊能忠敬は日本地図を造った人です。なんで大河ドラマにならないのでしょうか?

そういう質問だった。

 池本も地元の偉人である伊能を尊敬していたため、「4、5回はなっててもおかしくない」との感想をぼやく。

 市役所内での謎の会議でのこと。市の観光振興策は、ありふれた退屈なものとなっていた。部下の木下のボヤき、それが会議室に響いてしまう。

 池本は意見を求められ、たまたま目についた大河ドラマのポスターを見て、先ほど聞いていたラジオの内容を思い出す。

大河ドラマなんて、どうでしょうか?
香取市といえば、忠敬さんにほかならないと思います。

 そんなとっさに出た案が、県知事に気に入られ採用されてしまう。

 そして、人気絶頂のなかで引退した加藤幸造に脚本を書いてもらえるようにお願いをしにいくのだった。

 …

 「大河:伊能忠敬」の脚本は書いていない、という加藤幸造。

伊能は地図が完成する前に死んでいる。だから、大河は書けない。

 …

 そして舞台は、伊能忠敬が地図を完成させる前に亡くなってしまった日へ。

伊能先生には、しばらく生きていてもらいましょうか。

スタジオ・キャスト

映画スタジオ

配給:松竹

助成:文化庁文化芸術振興費補助金、独立行政法人日本芸術文化振興会

監督

  • 中西健二

脚本

  • 森下佳子

世界観

 名作落語を映画にした作品です。

 落語というと、やっぱり前提として知識が必要となってくるものです。それを、今回は映像化してくれるので、分かりやすいし、笑いどころがわかるものとなっています。

 間縄と呼ばれる糸や鉄鎖と呼ばれる道具を使って距離を測り、股幅を利用して同じ場所を往復して測量を重ねて、計測を正確なものにしていました。

 複数の箇所で同じ目標物の方位を確認する方法(交会法)も行っていきます。建物、大木、目立もの、曲がり角などの目標物ごとに測ってはメモをとる、を繰り返していたようです。

 江戸に戻ってからも仕事は続きます。下図と呼ばれる方法で、測量データに合わせて針で穴を空けていき、それを線で結んでいきます。生じた誤差を交会法で検証していくのです。

 出来上がった下図を数枚つなぎ合わせて「寄図」とします。その寄図を清書用の和紙の上に配置し、再び針を刺していきます。

 そして、風景を描き地名と地図記号を入れて、ようやく地図の一部分が完成するとのことです。

 なんて面倒くさい。私は、絶対に無理です。途中で影武者が逃げるのもわかります。

 最後の劇中歌は最後まで聞いてしまいました。人間くさいものを玉置浩二に歌わせたらこうなります。

 また、「測量中に仲間がロシアの艦隊に襲われて命を落とすことを経験した伊能は、地図を造ることが自国を守る一歩なのではないか」そんなセリフが劇中にあります。大切なものを守るために、動き出しませんかというメッセージのようなものを感じます。

 この伊能の地図をみて日本の技術力を感じ、帰っていった艦隊がある。そんなこともいってました。


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